SDG Impact Japan ニュースレター 6月号
▼【コラム】 ESG2.0とは
日本国内でのESG/サステナビリティへの関心の高まりは、ここ数年の社会現象ともいえるほどです。これをテーマにするセミナーも数え切れないほどありますし、テレビでも専門番組が登場しています。すそ野は広く、小学生からもサステナブルという言葉が出てくるようになりました。企業にとっては、長期視点もさることながら、人材の採用、つなぎ止めにも待ったなしというのが実態でしょうか。ある意味ブームと言ってもよい情況です。これからの時代を良い方向に向けて設計していくきっかけが、共有され始めたことを実感します。
当社では、海外のESG/サステナビリティの分野のスタートアップで、日本でもインパクトをもたらす先の事業化を、インキュベーション事業として一つの柱に据えています。その1号案件として、シンガポール発のサステナビリティ評価プラットフォーム事業RIMMを取り上げています。オンラインで質問に回答していくことで、個社ごとのマテリアリティの特定、ESGすべての領域における同業他社比較評価ができるサービスです。2020年にスタートした企業ですが、すでにアジアのみならず欧米市場でも事業を展開しています。日本では当社とのジョイントベンチャーとして法人を設立し、展開を始めたところです。その創業者であり社長でもあるラヴィ チダンバラムさんが来日し、事業会社、金融機関、当局関係者などと意見交換を行い、また、「ESG2.0」というキーワードでセミナーも開催しました。
意見交換やセミナーを通じての発見をいくつかご紹介します。企業の方も関係当局の方もサステナビリティがこれからの社会の中心となる概念で不可避のものだという感覚をお持ちでした。経営の中核としてサステナビリティを据えるとおっしゃる会社も多くありました。同時に、どう進めていくかについての具体論には、各社のスタンスも分かれているように思いました。方向は合意しているけれど、具体的アクションはしばらく様子を見てからでも遅くないのではないか、という方もおいでです。ESGの広範なチェックポイントを前に焦点を絞り切れないという方もおいでです。まさにサステナビリティ時代の揺籃期ともいえる状況かと思います。
こうしたまさにESG1.0ともいえる状況で、ラヴィさんが提供されたのがESG2.0という視点でした。サステナビリティの胎動が始まるタイミングで、あらためて「なぜサステナビリティが大切なのか」を問うものでした。すでにこの領域で先行する欧米企業での例を引きながら、サステナビリティを「投資家起点」、「規制当局起点」、「企業起点」、「ステークホルダー起点」の4つに分類したうえで、投資家起点の場合のリスク(グリーンウォッシュへの誘惑)を指摘し、ステークホルダーすべてを巻き込んだ、民主的なサステナビリティの実現を目指すべきだというものでした。網羅的になりすぎることなく、必要なKPIの設定を行い、現実を正確に計測し、関係者とその情報を共有する。サステナビリティ/ESGの機能を企業の外側に置くのではなく、企業内の機能の一つと位置付けて取り組みを進める。ESG1.0についてもまだ十分に対応できていない状況ではありますが、先行したケースで発見された陥穽に落ち込まないためにも、改めてスタートの時点で考えておくべきことかと思いました。
ラヴィさんからは、日本社会のもつ伝統的なDNAはより良いESGを実現して行くのにふさわしいものがあり、日本のサステナビリティへの取り組みに対しての期待を持っているというお話もありました。ESG/サステナビリティの取り組みが、ファッションやブームの段階から次のステージに昇華していくタイミングに、まさにふさわしい内容であったと思います。
セミナーでの資料を公開しています。セミナー開催報告のURLからご覧ください。
株式会社SDGインパクトジャパン
取締役 山下 雅史
▼セミナー開催報告
6月8日にRIMM Sustainability ファウンダーCEOのラヴィ チダンバラムによる中小企業のサステナビリティ経営や評価に関するセミナーを開催いたしました。
当日は、GLIN Impact Capitalの中村 将人氏、東京工業大学 講師キム・シューマッハ氏も交えたパネルディスカッションが行われ、ESGに関するこれからの課題や中小企業の取り組みについて意見を交わしました。
テーマ:ESG2.0 サステナビリティ(ESG)経営戦略と企業価値向上のこれから
〜 グローバルなサステナビリティ評価・開示の動向 〜講演資料:「ESG 2.0」
▼SIJの活動状況・ニュース
東洋経済様主催「TOKYO金融カンファレンス2022-2023サステナブルファイナンスの本質」に弊社Co-CEO小木曾麻里が登壇いたしました。
ESG投資についてのトレンドや当社の取り組みについてご紹介しています。
TOKYO金融カンファレンス2022-2023
https://toyokeizai.net/sp/sm/tfc2022-23/
5月25日付の日経オンラインに、弊社CIOサーシャ・ベスリックのESG投資についてのインタビューが掲載されました。
試練のESG 未来変える勝者探す、インパクトこそ重要に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK16A5R0W2A510C2000000/
6月9日に開催されたPEI Impact Investment Forum: Tokyoに、弊社Co-CEO小木曾麻里が、機関投資家としての保険会社のネットゼロポートフォリオ戦略をテーマとしたセッションのモデレーターとして登壇しました。
PEI Impact Investment Forum: Tokyo
https://www.peievents.com/jp/event/pei-responsible-investment-forum-tokyo/speakers/
6月14日、15日にロンドンで開催されたResponsible Investor Europe 2022「The place of the defence industry in ESG」のパネルディスカッションに弊社CIOサシャ・べスリックが登壇しました。
Responsible Investor Europe 2022
https://www.peievents.com/en/event/ri-europe/home/
そのほかのニュースはこちら
https://sdgimpactjapan.com/jp/news/