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▼RI Japan 2023 レポート
5月24日に開催されましたRI Japan 2023にて弊社CISOサシャ・べスリックが「データを取り巻く状況の進化とデータ開示における日本の役割」と題したパネルに登壇いたしました。
サステナブルファイナンスの急速な拡大を受けて、企業の環境・社会・ガバナンス(以下ESG)に関する取組み状況や、ESG 関連の投融資の適格性等について情報を収集・集約し、評価を行う 「ESG 評価・データ提供機関」の影響力が大きくなっています。当パネルでは、ESG 評価・データの発展と、現在の状況と課題について議論されました。
パネリストは弊社サシャ・べスリックに加え、金融庁の池田様、CDP社の榎堀様、モデレーターはEn-Cycles社の岸上様が務められました。
サシャは欧州においてESG投資の黎明期から携わっており、欧州のNordea銀行、J. Safra Sarasin銀行で責任投資の責任者を歴任し、さまざまなESGファンドの組成・運営してきました。長年ESG投資に携わっている立場として、ESG投資の拡大とともにESGデータも大幅に増えたが、企業の事業成長および財務評価につながっていないことが課題だと指摘しました。既存のESGデータは財務評価から独立して評価されていることにより、アクセスできるデータを活用して企業の事業成長を予測することは難しく、企業の財務情報にリンクできるデータなどの作成を提案しました。
CDP社は英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)であり、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しています。同社は開示をベースにしたスコアを開示していますが、当スコアは格付けのためのものではなく、企業のより良い開示、より良いアクションにつなげてもらうことを目標にしているようです。昨今ESGデータに関する行動規範、規制ができるなかで、ESGデータの質、データの背景が課題となり共通のフレームワークを有することが重要であるとコメントをされていました。
金融庁は、サステナブルファイナンスが世界的に拡大するなかで、ESGに関する情報を収集・提供し、評価を行う「ESG 評価・データ提供機関」の役割が増大していることを背景に、「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」を昨年12月に公表しています。
当行動規範では、柔軟性が確保されるよう、原則主義で記述しており、品質の確保、人材育成、独立性・利益相反の管理、透明性、守秘義務、企業とのコミュニケーションの6つの原則から成る任意のものである、とのご説明がありました。
パネルでは日本を含め国際的な行動規範を受けて、上記の課題が解決できるのかなどが議論されました。パネリストからは、世界で共通する目標を達成するために、企業と金融機関が手を組む必要があり、データはその橋渡し役となり得て、行動規範等の作成がより透明性およびクォリティの高いデータへのアクセスを可能にするという意見がありました。
一方で、ESGデータのブラックボックス化が解消されないなか、ESG投資が今後さらに成長し、ESGデータが投資判断の重要な役割を担うとなると、より良いデータが提供されるためには規制が必要になってくるのではないかという指摘もありました。また、今後10年のデータプロバイダーの世界はどのように変わっていくか、という質問に対しては、今とは異なるユニークなデータ、特定した地域およびセクターに特化したデータ提供がなされるかもしれないとのコメントがありました。
また、データ会社においては、収集したデータの価値と活用方法を提案し、新しい課題をモニタリングするKPIの設定を提案することが重要であると同時に、データ活用をする金融機関側も投融資のポリシーをしっかり作成することがまず大切で、そのポリシーに則したデータベースを特定することの重要性も指摘されました。
そのなかで、規制当局としての今後10年の役割としては、企業の統合報告書の開示指針、ESGデータの提供方法がテクノロジーの発展により変わっていくこともあり、監督も柔軟に対応していきたいというコメントに加え、仮にESG価値が企業価値、信用リスクにつながっていくのであれば、監督当局としてどのように対応していくのは継続的な課題と述べられていました。
責任投資は古くからあるものの経済的リターンに必ずしも結びつかないという課題もあり、過去においてなかなか普及してきませんでした。ただ、気候変動、グローバリゼーションが進むなかで、持続可能な社会づくりに全員が取り組む必要性が高まり、投資の世界でも企業成長のみならず収益の上げ方にも注目が集まってきています。その中で、ESGの取り組みは将来の企業価値を向上させる資産として認識されるようになった結果、ESG投資が拡大していると考えています。現時点ではESG価値と財務価値が別々に評価されているような印象は受けるものの、恐らく今後は融合された形で評価されるのだろうと思います。そのなかでESGデータが重要な役割を引き続き担い、今後も進化していくのだろうという印象を受けました。
(SDGインパクトジャパン 取締役/マネージングパートナー 岡 由布子)
▼SIJの活動状況・ニュース
Steve Leonardがマネージングパートナーとして参画することとなりました。
この度、Steve Leonardが弊社にManaging Partnerとして参画しました。
同氏はサステナビリティテクノロジーを含むイノベーションの創出や企業インキュベーションにおけるグローバルな実績と知見を有しています。弊社にて、ユニゾンキャピタルとのサーキュラーエコノミーファンドやサステナビリティテクノロジーのインキュベーション事業を中心に、弊社全体の更なる成長・発展を経営メンバーとともに牽引して参ります。
弊社の英語版ウェブサイトをリニューアルいたしました。
よりサステナブルを意識したデザインに変更し、一部新たなコンテンツを追加しております。ぜひ御覧ください。日本語版も追ってリニューアルする予定です。
会社案内の動画(英語版)も同時に公開しておりますので合わせて御覧ください。