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2022年7月、厚生労働省が女性活躍推進法に基づく省令を改正し、従業員数301人以上の企業は「男女の賃金の差異」を開示することが義務化されました。今回義務化される開示内容は「正規・非正規・全従業員の3区分ごとの男女の賃金差異」です。これまで先行して男女の賃金差異を開示してきた企業では、役員・管理職・非管理職など、各役職内での賃金差異を開示していることが多くみられましたが、今回明確に3区分での男女賃金差異の開示が求められることとなり、各社対応に追われています。
今回の省令改正の背景には、日本の男女格差に関する政府の強い危機感があります。世界銀行が今年3月に公表した経済的な権利を巡る男女格差の最新調査では、日本は総合点で世界104位、昨年の103位から更に後退し、主に先進国で構成されるOECD加盟38か国の中では最下位となっています。世界経済フォーラムが昨年7月に発表した「ジェンダーペイギャップ報告書」でも、経済分野での日本の順位は146か国中121位で、主要先進国で最低となりました。OECDの統計でも、日本の女性の賃金は男性と比べ22.1%低く、OECD加盟国平均の11.7%に比べても格差が非常に大きいことが分かっています。女性管理職比率もILO(国際労働機関)の2019年調査では先進7カ国中、最下位の14.7%。世界でも167位と非常に低い数字となっています。
このように、日本の男女格差は国際的に見ても深刻な状況にあり、社会的な公正性の観点からしっかりと格差縮小に取り組んでいくことが求められます。また、日本企業が男女不平等の解消に動くべき理由は社会的な公正性の観点だけでなく、経済的な観点からも重要です。様々な研究や報告書が、男女格差の縮小・解消を含めた企業内のダイバーシティ促進・推進が、人材確保や定着率向上、幅広い顧客層への対応力の強化、イノベーションの加速化などを通じて、企業の業績や企業価値の改善に繋がることを支持しています。企業には自社の経営状況・事業状況を踏まえながら、適切な方針・施策を通じて男女格差の縮小や解消を進めていくことが求められています。
SDGインパクトジャパンでは、NextGen ESG JapanファンドのESGアドバイザーとして、ファンドの投資先企業に対してESG・財務の両方のパフォーマンス向上に向けたエンゲージメント(対話)を実践していますが、その中でジェンダー平等は全ポートフォリオ企業と協議する重要課題の一つとして位置づけ、男女賃金差や役員・管理職の男女比率などをテーマに各社と協議しています。各社とも改善余地の大きい現状が見えてきている中、弊社からはジェンダー平等・ダイバーシティの促進に向けた「トップのコミットメント」と「明確な社内方針の設定」の必要性や、具体的な施策の推進に向けた「自社の男女格差の要因分析」と「要因に対する打ち手の検討・実行」の実施・開示の重要性を各社に伝達しながら、対応方針・具体施策・開示方法などの議論を進めています。これらの活動を通じて、企業におけるジェンダー平等実現に向けた取り組みの好事例を創出・発信し、社会全体のジェンダー平等・ダイバーシティ推進に貢献していきたいと考えております。
株式会社SDGインパクトジャパン
Chief Operating Officer 前川 昭平
▼イベント・セミナーレポート
3月1日にオンラインセミナーを開催いたしました
3月1日に「企業価値を追求する新たなESGエンゲージメント投資」と題したオンラインセミナーを行いました。当日ご視聴いただきました方々には、お忙しいところご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
前半はSDGインパクトジャパン最高投資戦略責任者サシャ・べスリックより日本のESGトレンド、企業分析のうえでESGと企業価値の関係性(Integrated Value Driver)を特定する重要性、企業価値に与えるESG課題の定量化方法についてご紹介しました。当考察につきましては近日中にレポートをコーポレートサイトに掲載する予定です。
後半はあすかコーポレイトアドバイザリー株式会社 COO 田中喜博氏と弊社COO前川昭平が、弊社がESGアドバイザーを務める「NextGen ESG Japan戦略」の投資先企業において、どのようにESGと企業価値の関係性(Integrated Value Driver)を特定し、改善に向けたエンゲージメントを行っているか具体例を示しながらご紹介しました。
今後もオンラインセミナーを通じて、弊社の取り組みについて発信してまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
また、過去に配信いたしましたレポート類はこちらからご覧いただけますと幸いです。
▼SIJの活動状況・ニュース
株式会社ゼロボードとRIMM社が業務提携を締結いたしました
弊社グループ会社の株式会社RIMM Japan及び、RIMM Sustainability Pte Ltd.は、GHG(温室効果ガス)排出量算定・開示・削減を支援するソリューション「zeroboard」を提供する株式会社ゼロボードと、2023年2月24日、RIMM社のESG評価に資するサービス提供を検討する業務提携を締結いたしましたのでお知らせいたします。23年度中に両社ソリューションの機能連携を⽬指します。
AgFunder Global AgriFoodTech Investment Report 2023の発表
AgFunder SIJ Impact Fundで弊社が連携するシリコンバレーのベンチャーキャピタルのAgFunderが「AgFunder Global AgriFoodTech Investment Report 2023」を発表しました。最新の世界のアグリ・フードテックスタートアップの投資状況がご覧いただけます。
また、昨年レポートのアジア・パシフィック版である「AgriFoodTech Investment Report - Asia Pacific 2022」の日本語版も発表されています。本レポートの日本語化には弊社が協力しています。
AgFunder Global AgriFoodTech Investment Report 2023
https://agfunder.com/research/agfunder-global-agrifoodtech-investment-report-2023/
アグリ・フードテック・インベストメントレポート アジア・パシフィック 2022
https://agfunder.com/research/asia-pacific-2022-japanese-version/
▼そのほかのニュースはこちら
https://sdgimpactjapan.com/jp/news/